自家歯牙移植

「歯を失ってしまった…」そんなとき、多くの方がまず思い浮かべるのは、インプラント・ブリッジ・入れ歯といった人工の代替治療かもしれません。

しかし実は、ご自身の歯を活かして治す「第4の選択肢」があるのをご存じでしょうか？

それが自家歯牙移植（じかしがいしょく）です。健康な親知らずなどを、歯を失った場所に移植することで、まるで自分の歯が再びよみがえったような感覚を得られる治療法です。ご自身の歯を使うため、なじみやすく、噛み心地も自然。体への負担も少ない、非常に魅力的な治療といえます。

ただし、自家歯牙移植は高度な技術と豊富な経験が求められるため、どの医院でも行われているわけではありません。また、歯や骨の状態によって適応できるかどうかが異なります。もし条件が合えば、人工物に頼らず“自分の歯で再び噛める”という、かけがえのない選択肢になるかもしれません。まずはご相談ください。

インプラントや入れ歯、ブリッジといった治療は、見た目は自然でも、実際に使ってみると次のような不都合が生じることがあります。

・金属や樹脂の感触に「なんとなく異物感」を覚える
・しっかり噛もうとしても力が入りにくい
・口を開けたときに外れるような不安がある
・材質によっては金属アレルギーを起こすことも

一方、自家歯牙移植は、あなた自身の健康な歯（たとえば親知らずなど）を失った部分に移植する治療です。自分の歯だからこそ、噛んだときの感覚も自然で、口の中になじみやすく、まるで失った歯が戻ったかのような安心感があります。

入れ歯やブリッジ、インプラントを入れたことがある方ではわかるのですが、「噛んでいる感覚がどこか違う」「食べ物の硬さがわかりにくい」と感じる方が少なくありません

その理由は、「歯根膜（しこんまく）」がないからです。

歯根膜とは、歯の根と骨の間にある薄い膜で、噛んだときの圧力や食感を脳に伝える“感覚センサー”のような存在です。

たとえば、
・おせんべいを噛んだときの「パリッ」という感触
・柔らかいパンをそっと噛みしめたときの「ふわっ」とした弾力
・力を入れすぎず、ちょうどよく噛む微妙なコントロール

これらは、すべて歯根膜の働きによって感じ取られています。つまり、自家歯牙移植なら天然の歯と同じ“生きた噛み心地”がよみがえるのです。人工物では味わえない、「自分の歯で食べる」本来の感覚を取り戻せる。それが、自家歯牙移植の大きな魅力です。

ここまでお読みいただき、いかがでしたか

「歯を失ったら、もう人工の歯しか選択肢がない」と思っていた方にとって、“自分の歯を再び活かせる”という可能性は、新しい希望に感じられたかもしれません。インプラント・ブリッジ・入れ歯も、それぞれに優れた特徴がありますが、自家歯牙移植は「第4の選択肢」として、より自然で体にやさしい治療法です。

もちろん、すべてのケースで適応できるわけではありません。ですが、条件が合えば、人工物に頼らず“自分の歯で再び噛める”という、かけがえのない価値を得られる可能性があります。

当院ではセカンドオピニオンにも対応しています。「どの治療が自分に合っているのか分からない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、自家歯牙移植をはじめ、インプラント・ブリッジ・入れ歯など複数の選択肢を比較しながら、患者さんお一人おひとりにとって最適な治療プランをご提案いたします。